今年は、ハイジュエリー コレクションのインスピレーションに1970年代のパーティーを選ばれました。どこに着想を得られたのでしょうか。

ヴァレリー・メシカ（以下VM）：2023年、メシカのハイジュエリーは10周年を迎えます。メゾンの専門知識と創造性のすべてを表現できる、記念すべきテーマを探していました。すぐに思い付いたのが、1970年代の華やかで盛大なパーティーです。この時代はすべてが可能であり、メゾンにとっての新たなステージを完璧に反映していました。

《ミッドナイト サン》では、カラー、新たなテーマ、新しいルック、新技術などを探究しました。70年代とその自由で強烈なエネルギーによって、こうした新たな表現領域を確立できたのです。ファッションショーというよりも、本物のショーを開催しました。豪華絢爛なダイヤモンド ジュエリー、エイバ・マックスのミュージック パフォーマンス、モデルたちの熱気、当時を彷彿とさせるスタイリングなど、このハイジュエリー コレクションは、華麗に打ち上げられた花火なのです。

セットジュエリーのひとつに、これまでメシカがセッティングしたダイヤモンドの中でも最大級となる、約35カラットのイエローダイヤモンドが使われています。この宝石について教えてください。

VM : これは新たな家族の物語なのです！兄のイラン・メシカのおかげで、この傑出した宝石を入手することができました。イエローダイヤモンドの輝きを引き出すために、父アンドレ・メシカのアトリエのダイヤモンド細工師が長い作業時間を費やし、絶妙に輝くラディアントカットに仕上げました。メシカ家のダイヤモンドの伝統を完璧に物語っています！家族で祝える幸運に恵まれたことを、あらためて誇りに思います。

メシカ ハイジュエリー アトリエでは、オートクチュールを思わせるピーターパンカラーのように、ゴールドを贅沢に使って、この宝石をセッティングすることにしました。ベゼルに施したオープンワークが光を通過させ、この神聖な宝石の輝きを際立たせています。

おっしゃられたとおり、《ミッドナイト サン》はメシカ ハイジュエリーの10周年を記念する作品でもあります。ご自身にとって、このことは何を象徴しますか。

VM : 何年もかけて、当時は躊躇していたテーマの探求を自身に許してきたと思います。初期のメシカ ハイジュエリー作品と《ミッドナイト サン》の作品を見れば、スタイルが進化し、ある種の成熟を遂げているのがはっきりと分かります。メッセージはより大胆に、より野心的に、より本質をとらえたものになっています。

私たちには伝えるべきメッセージがあり、独自の意見があると思います。この芸術的かつ伝統的な取り組みを、華々しく、自由なビジョンで表現することができました。やりがいがあり、刺激的です！創造性は10年で枯渇すると思われているようですが、その逆だと感じています。

他にも、メシカは今年からフランス・オートクチュールおよびファッション連盟（Fédération de la Haute Couture et de la Mode）に認められた数少ないメゾンのひとつになりました。ファッションとの関係はますます強まっています。これは希望されていたことだったのでしょうか。

VM : メシカ ハイジュエリーはファッションと深く結びついていると思います。今回のショーで、トレンドセッターとしての地位を証明しました。特に、これまでのシーズン以上に、全身を飾るジュエリーを発表しています。アイウェア、リップジュエリー、ヘッドジュエリー、ベリージュエリー、そしてアパレルも。メシカはファッショナブルなジュエリー＆ハイジュエリー メゾンであり、それをパリ ファッションウィーク期間中に《ミッドナイト サン》で明言したかったのです。